ああ、美味いわ、これ」
とホンジョウはそれを軽く指先でつまんで食べながらそう言った。
マジで?」
と俺もひとつまみ試す。
いけますねえ」
と俺もその意表をついたアレンジと意外にも深みのある味わいに感動しそう答える。
ああ、悪い。
それでなんだっけ?」
とホンジョウは思い出したように俺に訊き返す。
ああ、そうそうそれでさあ、あの時だよ。
オマエが俺に???運命のオンナの話をしてきたの憶えてるか?」
運命のオンナ?
運命のオンナってオマエ。
あ~あ???、あれか?ミクの話か?」
そうそう、ミクとか言ってたっけ。
それでまあ、その時にさあ???、オマエが俺に言ったひと言がその後ずっと気になっちゃって」
ひと言?
なんだよ?俺が何か言ったのか?」
ああ、その時オマエは俺に『オマエはオンナを本当に好きになったことがあるのか?』って???そう訊いたんだよ」
そんなこと俺言った?
言ったかなあ?
まあいいやそれで?」
それでださあ、俺もまあ???、考えてみればそんなオンナがいたなあなんて思い出してね」
おお、いたんだオマエにも?」
とホンジョウは興味津々で俺に食いついてくる。
それでまあ、これが馬鹿な話なんだけど???、俺いきなり探偵に依頼してその彼女のこと調べてもらうことにしてさあ」
た、探偵だ?
う、嘘?ま、マジで?
ま、まあいいや。
そ、それでどうなった?」
それでまあ、そのオンナのことはとりあえずいちおうわかったんだけどね???、それよりもまあ、なんて言うか、その探偵ってのが実はちょっといいオンナだったって言うか」
と、カウンターの中でマスターがブッっと急に吹き出し、
ああ、ご、ごめん。
ちょっと面白かったんで???、ごめん、続けて」
と言った一方でホンジョウは、
そ、それでその探偵がどうした?」
と相変わらず俺の話に真剣に聴き入っている様子だ。
だからまあ、その探偵のオンナとまあ、なんて言うか???、うまいこと出来ちまった?みたいな話ではあるんだけど」